ヒマラヤユキノシタはヒマラヤ、中国、シベリア原産の多年草です。名前の通りヒマラヤ地方に自生していた草花で、日本に伝わったのは明治の初期頃です。栽培されているのは交配によって作成された園芸品種です。
地上部に出る太い根茎に、葉径15~30㎝ほどの革質の厚い葉 (写真右中央)がつき、冬には美しく紅葉します。大ぶりの葉に比して花はとても可憐で、分枝した花茎の先に淡桃色の円錐花序の五弁花を咲かせます。咲きはじめは淡くだんだんと濃くなり、花色は主にピンクですが白や紅色もあります。
近縁種には「 シベリアユキノシタ」、「アルタイユキノシタ」など多くありますが、これらもヒマラヤユキノシタとして流通しています。半日影でも生育し、何年たっても草姿が乱れないので和洋を問わず植えられ、日本庭園の石組みの間や花壇・鉢植え・グラウンドカバーとして重宝されています。草丈は15~60cm。花期は2~5月で苗の市販期は10月頃です。
属名の「ベルゲニア(Bergenia)」は、ドイツの植物学者「Bergen(ベルゲン)」の名に因みます。英名は「Himalayan creeping saxifrage(ヒマラヤン クリーピング サクシフラガ)」。和名は、肉厚でつやのある葉が冬でも雪の下からのぞかせていることから「ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)」です。
またこの葉が、丸い光沢のあるうちわのような大きな葉の形状から、別名「オオイワウチワ(大岩団扇)」。または「ベルゲニア」、耐寒性が高いことから「Winter begonia(ウインター ベゴニア)」とも呼ばれます。中国ではこの仲間を『岩白菜「ヤンパイツァイ(ガンハクサイ)」』属と呼び、薬として利用しているそうです。 |